3.マッサージ
「昔、上海には肩こりはほとんどいなかった」と、K先生は言います。それは誇張しすぎとわたくしは思いますが、改革開放後の目覚しい発展とともに、肩が凝る中国人が増えて
きてもおかしくない状況です。K先生は、日本に10年近く住み、日本語も流暢で、現在は、昼は上海市内の病院の鍼灸医として、夜はアルバイトで個人向けに鍼やマッサージを行います。個人向け、自宅治療の料金は1時間で3000円です。これは、街中のマッサージ店と比べるとほぼ4倍です。K先生は4代前から上海に住んでいるとのことですので、まさに、「上海っ子」と言ってよい存在で、日本通で、地元通ですので、わからないことは何でも聞いちゃいます。K先生が、影響を受けた本に、浪越徳治郎先生の本があり、この本を、中国でも普及しようと、翻訳も完成させました。「指圧のこころは母ごころ」というフレーズご存知ですか?

さて、K先生の治療は、最初30分ほど、筋肉がほぐれる程度に柔らかく揉み解します。力をあまり加えません。その後、アルコールで消毒した長さ7センチ程度の針を、20本くらい打ちます。鍼が向く人、相性が良いタイプというのがあるそうですが、わたくしの場合、鍼を打つと体がほかほかして、血の巡りが良くなることが実感できるので、相性はよいのでしょう。硬い茶葉にお湯を注ぐとゆっくり開いてゆくような感じです。20分程度は打ったままの状態で、他人が見ると、痛々しそうに見えるそうですが、当人はどんどんリラックスして参ります。

では、街のマッサージとは、どういうものでしょうか? 通常は1時間です。1時間30分というオプションもあります。1時間で700円から800円です。薬湯の入った熱めの桶に両足を浸します。この間に、頭部按摩、または、肩按摩、人気店ではそのまま放って置かれることもままあります。足の揉み方には、師匠もしくは学んだ専門学校によって違いがあるようです。クリームをつけ、つま先から足裏底部まで、ツボに沿って、揉んで参ります。内臓につながるツボが足には集まっているのでしょう。揉みながら、内臓の弱っているところ、疲れがたまっているところをピタリと言い当てられます。最後は熱く蒸したタオルで、クリームを取り、乾いたタオルで丁寧に拭いて終了です。マッサージは、足だけではありません。コインで背中をこする擦背(ツアーベイ)。火灌(ホーガン)というものもあります。これは、背中、腰の凝っているところを中心に、口の空いた球状の壜をあて、中に火を回します。球のなかの空気が薄くなったところで、その球を患部にあてます。ぴったり体にくっつきます。なかは、真空なので肉が盛り上がり、その部分が鬱血し色が変わります。10個ほど、そのような球を背中に貼り付け、15分程度、毛布をかけて休みます。この球を外すと、凝っているところは、見事に真っ黒になります。肩こりがひどい時には、これが一番という人もおりますが、背中のまん丸の跡は最低1週間は残ります。面白いところでは、天井に渡した鉄棒を握りながら、足裏だけでで背中を按摩する方法もあります。足裏と背中の相性が非常に良いことに驚くはずです。しかし、これだけは、体重の軽い女性に是非お願いしたい按摩です。

再上海見!


白酒大王(中国語名:バイジューダーワン) 略歴

広東省広州市に3年住み、現在は上海在住。怪しげな中国語を操りながら、ガイドブックには決して載らない、市場や路地裏探訪をなによりも好む。大食い。甑岳聖海師と小学生時代に机を並べたと言われる。