第15講/甑岳観音寺文書『御幣切方大事』より(その5)

『剱幣』
剱幣は神前に供える時は、三種の神器の一つとして、左右一対にして供えます。三種の神器の剣は両刃です。敵を切るばかりでなく、己の悪も切る為の戒めとして祀る意味が込められています。仏前では不動明王の法形を具象化した倶利伽羅明王として祀ります。陀羅尼秘密経に「若し倶利伽羅を使わんと欲わば、(中略)剣の中に、阿字を書け。心中に亦自らの剣、及び阿字を観ずること、了々分明にせよ。」とある様に阿の種字を入れます。また、この「剱幣」を以って結界を張る意味もあります。       

剱幣
知々理は中心から七、八、一、三となります。
 
「剱幣」(原本) 「剱幣」型紙
『峰中カケ上リ幣』

修験の峰中行においては、先達が先頭に立って行者を導きます。行道では斧が先頭に立つ事もあります。この「峰中カケ上リ幣」も先頭が掲げ持ち、拝所となる頂上に収めた御幣です。

峰中カケ上リ幣
知々理は中心から三、三、五、五、七、七です。
 
「峰中カケ上リ幣」(原本) 「峰中カケ上リ幣」型紙
『ヨリツキ幣』

神寄せ、仏寄せは、かつては地方の村々で吉凶を占うために良く行われてきました。そうした阿尾奢法などの憑き加持の際に、霊媒となる者が一本、または両手に一本づつ手にしたのがこの御幣です。

「ヨリツキ幣」

中心から四つ折りの知々理が三本並び、続いて七、五、三となります。
 
「ヨリツキ幣」(原本) 「ヨリツキ幣」型紙