第10講/甑岳観音寺文書『鳥居新造開眼』より

今回ご紹介する内容は鳥居の事についてです。秘法伝授というよりは、出羽三山倶楽部のコーナーに紹介した方がよかったかもしれません。この内容は当家の古文書群にある、「鳥居新造開眼」の一部を抜粋したものです。いずれは全文をご紹介しますが、残念ながら今回は時間的余裕がありません。その際には遷宮の次第も合わせて紹介させて頂く予定ですが、神楽之大事や三種神器の印明など神仏習合色の強い作法が網羅されています。神仏分離以前の一作法として興味深いものがあります。


さて、「鳥居新造開眼」は鳥居加持秘口がその内容となっています。奥書には寶暦二年に当家の行者の手により羽州下原安養寺で授かったものであると記されています。作法の中で特に注目されるのは、開眼の際の作法を通し、神仏分離以前の密教僧がかつては鳥居をどういうものとして捉えていたか、観想する際の口伝を通じ、その仔細が分かる事です。以下はその箇所の抜粋です。

一師口伝、鳥居の全躰は両部不二也。心實相の妙用也。之に依って色に約せば赤也。心に約して見れば中白木也。即ち赤白一躰の義也。左の柱は金、右は胎也。天の貫は不二を顕わす。即ち蘇悉地の大日也。

鳥居は阿字の寶塔、是を印母として佛眼の印を開く也。鳥居は両部不二、四季四節五大尊の本分、一切衆生の命息也。心實相の覚躰也云々。

師深口伝、中央は大日大聖不動、不動と云ば即ち一切衆生也。


鳥居左右の二本の柱をそれぞれ金剛界と胎蔵界とし、二本の柱を結ぶ貫(ぬき)を、金胎を融合する不二として蘇悉地の大日としています。

そして一方で心の實相を通し、鳥居の外見の赤とその内の白木の白とを赤白一体として捉えているのです。

こうして鳥居を「阿字の寶塔」として佛眼の印明を用いて開眼する訳ですが、両部不二、四季四節、五大尊の本分と観じるとする処は、説明するよりは図を示した方が分かり易いと存じますので以下に示します。


この図から以上の記述は当然ながら両部鳥居についての意味付けとなっている事が分かります。

以上、中途半端な紹介で申し訳ありませんが、正月に神社に詣でる機会にでも、お話の一端にでもして頂ければ幸いです。