第1講 古流「祓い作法」(「播磨斎藤家文書」より)

「播磨斎藤家文書」について
  山形県鶴岡市の鶴岡市立図書館が所蔵する「播磨斎藤家文書」の中から、神仏淆当時の祓いの作法を紹介します。先ずは、播磨斎藤家文書について分かる範囲で述べたいと思います。播磨斎藤家は 江戸時代後半より天領であった鶴岡市播磨地区の総代\r 名主を務めた地主でした。その播磨斎藤家が所蔵した多くの古文書が現在、鶴岡市立図書館に収蔵されています。政治や交通などの様々な分野の中で、特に羽黒修験関係の資料が多数含まれています。斎藤家が羽黒の先達などを務めていませんでしたので、おそらくは明治の神仏分離当時の混乱の中、多量に流出した歴史的古文書の散逸を惜しみ、これらを収集したのではないかと思われます。ここに紹介する古流の祓いなど独特の作法や不動立印供など普通は伝法される事が難しい次第書など、貴重な文書が多く存在しています。

「祓いの作法」読下し
幣印ロイ左右五指を延べ、下に向け、左を下に幣の如く重ね臍に当て大指を交え、右を下に左を上に、或は立てること有り。
唱云
トヲカミエミタメ
坎艮震巽離坤兌乾
拂い給へ清め給へ
二度三度目「清め給う」
右三度唱え、「外へ拂い内に清め申す也」(と唱う)
他人奉幣之次第先ず神前に至り拍掌二度(天御柱立大・地御柱立小)
次に幣を取る(右手上・左手下)
持直す(左手上・右手下)
之を抱え起座す
次に其の人の正面に至り、奉幣三度之を振る
拂へ給え清め給う
畢えて次に神前に至り幣を納める(右手上・左手下)
畢えて平伏
次拍掌二度小大(地御柱立小・天御柱立大)
次退去
右授奉幣之作法次第
神幣取渡之次第

先ず神前に至り平伏して
拍掌二度(天御柱立大・地御柱立小)
次に幣を取り之を渡す(右手上・左手下)
畢りて右の方へ控へ居る
奉幣畢りて亦幣請け取る時(左手上・右手下)
納む時は(右手上・左手下)納め畢りて平伏
拍掌二度小大(地御柱立小・天御柱立大)
右畢りて退去
右神幣取渡之次第畢
文化元年甲子春三月吉日
大樹王山権僧正覚田
授与醫王院覚諄
弘化四年丁未六月吉日
授与権光院澄海


 この文書にある権光院澄海は羽黒の第七九代座主です。大樹王山とは、日光の事と推測されます。ですからこの作法は日光から羽黒に伝わった祓いの作法ではないかと考えられます。
幣印はただ手を組むだけでなく、ロイになると思われますが、動作が伴う所作が加わるはずです。通常、神道では左右左右と祓う事から、左手を右側に振るように開いて元に戻し、続いて右手を振るように右側に開いて戻す動作を繰り返す動作を行うと思われます。他の所作は読下し通りのはずです。神仏淆当時の作法として広く修法出来る作法です。
ご意見や、法兄諸師の感想やご指導、またその他の祓いの作法がございましたら、どうか情報をお寄せ下さい。このコーナーへの投稿をお待ちしております。